銀の月夜に願う想い
まるで蜂蜜。
ふわふわと揺れて、それは口に含んだらさぞかし甘いに違いない。
柔らかさの欠片も持ち合わせない闇の女神はゆっくりと首をもたげた。
また、世界のルールに反した生き物が生まれてしまった。
前回のレリアに、今回はその子供。
とてもではないが世界ーーー人間には到底受け入れられることのない存在。
生まれたときから否定され疎まれる存在だ。
そんなこと分かりきっていたから反対をしたのに。
けれど完全にレリアき説き伏せることも、子供を無理矢理堕ろすこともしなかった点で自分は甘い。
情など生まれたときからなかったはずなのに。
人間に関わるようになってから感化されたらしい。闇の女神が聞いてあきれる。
自分たち神は世界を創造したけれどーーー今はすべて人間で成り立つ世界。
彼らの機嫌を損ねたら私たちだって消えていく世界になってしまった。