銀の月夜に願う想い

世界の光を表すロアル。彼は世界の創造神の一人だから、出来ないことがあるわけない。

「子供が欲しいんだ……レーアとの間に」

『……それは無理だってお前も知ってるはずだ。レーアも』

「分かってる…。でも、どうしても欲しいんだ」

もう駄々をこねる子供ではないから、そんなことはしないけれど。でも諦め切れないから、悪足掻きをする。

「出来ない?そうすればレーアを僕の元にとどめておくことが出来る」

『我が儘にも限度があるよ、クー。それは無理だと、何回言ったら理解するんだい?』


呆れたようなため息をついているロアルを見上げたルゼルは、暗い瞳を向ける。
それでどれほど追い詰められているのかが窺える。

「僕は……レーアがいないなら永遠の命なんて要らない」

『もう与えてしまったものに文句を言わないでくれないかな?
俺はお前を幸せにするためなら何でもしてあげようと思ってる。でも、それとこれは話が別だ』

「別じゃない。僕にとってレーアは全てなんだ。レーアがいないのに、僕は……」


人間と同じモノを望みなどしない。他に大事なものがあるからそれだけを求めているだけなのに、どうしてそれが手に入らないのだろう。

「ロアル…」

『そんな顔をしても無理なものは無理だよ。あの賢いレーアがお前と同じ考えなのにも驚くけど、いくら二人が望んでも無理だ。俺はメレイシアに嫌われる要素を増やしたくない』

「もう嫌われてるのに?」

鋭いところを突いてくるルゼルに金の神は黙り込んだ。気にしていたのだろう。
そりゃあルゼルだってレリアに同じことをされたら仕事もままならなくなることだろうが。


「どうしても方法ない?僕とレーアが子供を作ることは無理?」

『……………』

じっと見上げるとロアルは困ったような顔をした。そしてその視線が彷徨う。

「…あるんだ?」

『………』

微かに相手の眉が曇った。それを見れば今の質問の答えが分かると言うものだ。



< 86 / 161 >

この作品をシェア

pagetop