銀の月夜に願う想い
何よりも望むそれを叶えたい。だから必死になっている。離れていても繋がっていると言う確固たる証拠(もの)が欲しいから。
『確かに知ってるよ…でもそれは教えられない。メレイシアとの約束だからね』
「隠さないといけないこと?」
『当たり前だ。それは、知られてはいけない禁断の秘密だから。俺とメレイシアしか知らない、秘密』
神が隠さないといけないこと。そんなものがあるのだろうか。
「レーアのこと?」
『…そう。人々の信念がある限り、俺とメレイシアは絶対に結ばれないけど…、お前たちにそういう道があるのはレーアのおかげだと思ってほしい』
「レーアの?」
何故レリアなのだろう。彼女は何か凄い、神の掟を破れるような能力は持っていないはずだが。
『レーアは特別だったんだよ。あのレーアを娘にしたメレイシアも、何か感じてたんだろうな』
何を、という言葉は出てこなかった。
その言葉は、レーアがいることそのものがあり得ないことのように言われているようで。
「レーアはロアルたちにとって、あって欲しくなかった命だってこと?」
『………正直言うとそうだね。あり得ない命で、あって欲しくなかった命だ。その存在自体がいけないもの……ある意味お前より可哀相だと思うよ』
神すらが欲しくなかったというほどの理由のある生まれ方をしたレリア。何故彼女はここまで言われるのだろう。
『彼女に背負わされた代償はあまりにも辛い。メレイシアが夜の世界に連れ込まなくても、彼女は人には理解しがたい生き物だ。人には絶対受け入れられない』
「受け入れられない?」
受け入れられない。
何故?人は本能で拒否するものはあり得ないと思っている。人がレリアを受け入れないということは、彼女が人から“拒否されるもの”ということになる。