銀の月夜に願う想い
レリアが人に“拒否されるもの”?
どうして?
「もしかして世界は、人が受け入れるものとそうでないものを区別して作られている?」
『そうだよ。光は善で、闇は悪。そんな人間たちの勝手な思い込みが、俺たちもお前たちも引き裂いてるんだ。俺たちは世界の創造神だけれど、世界を構成しているのは人間だからね』
人間が主のこの世界では、神はただ人を“監視するモノ”でしかない。
人に愛され人に嫌われ、人の人間らしさを保つための世界との仲介人。
そしてレリアはその仲介人にならんとする、人でも神でもない中立の立場にある者だ。
『今、レーアは凄い半端だ。今ならまだ人間に戻ることも出来るし、このまま闇の中で生きることを望むのなら闇の眷属としか子供が作れなくなる。お前とはあり得ない、レーアの子供が、ね…』
「………」
気にしているところを言われてルゼルはロアルを睨み付けた。
「レーアは僕のだよ」
『そうやってレーアを縛り付けるのは止めたほうが良いよ。本来なら気付けることに気付けなくなってしまう』
「……どういうこと?」
まるで全て分かっていると言わんばかりの金髪の神は淡く微笑む。
いや、きっと知っているのだろう。レリアの考えることが。この世界の、絶対の神なのだから。
『まあ気を付けて見ていることだね。闇雲に動こうとしているお前より、レーアのほうがよっぽど考えることは大人だ。
まぁ…、レーアがそれを行動に動かすかどうかは知らないけどね』
フッと肩を竦めたロアルは外を見た。
ルゼルはその視線を追う。
人のあまり通らない中庭の木。そこに綺麗な金髪と銀髪が翻っている。
どうやらまたツェーナとレリアが抜け出しているようだ。