CROOK GIRL×BOY


死んでいると分かっていながらも、
ナオはそれを嘘だと自分に言い聞かせ、
何度も母の体を揺する。


白い肌に、ベトついた赤い血。
ひかりを失った虚ろな瞳。


俺が守ると決めたのに、

守れなかった。


俺は最後まで、母さんに守られた。


気付いていないうちに、
目から大量の涙が零れ落ちる。


『あ゛あぁぁぁぁぁ!!』

ナオは冷たい彼女の
体を抱き締めて、泣き叫んだ。

母親のことを守れなかった
無力で哀れな自分を、
全て忘れないように。


2度とこのような過(あやま)ちが
起きないように と願いながら―――。

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