ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
レイナは言われるがままにベンチに座った。
『今日はどうだった?楽しかった?』
ケイゴは笑顔で尋ねた。
『うん。凄く楽しかった…今までで1番幸せな誕生日になったよ』
『そっかー…それなら良かった』
ケイゴはニコッと笑った。
『みんなが私の事祝ってくれて、凄く嬉しかった。でも…ケイゴに祝って貰えたのが1番嬉しかったけどね』
レイナは笑った。
『そう言われると、何か照れるな』
ケイゴは少し照れた。
『もうすっかり桜も散り始めたね』
レイナは頭の上の桜を見上げた。
『そうだね、桜って凄く儚い命だけど…咲いてる間はみんなに笑顔をくれる。そう思うと桜って素敵だよね』
ケイゴも頭の上の桜を見上げた。
そして、しばらくケイゴは黙って何かを考えていた。
『冬の海でさ…レイナが私はどこにも行かないって、僕に言ってくれたあの言葉。凄く嬉しかったな』
ケイゴはあの日を思い出しながら言った。
『今日はさ、そんなお礼の意味も込めて…もう一つレイナにプレゼントがあるんだ』
そう言ってケイゴは、ギターケースからギターを取り出した。
『プレゼント?』
レイナは不思議そうにケイゴを見た。
『ミュージシャンのレイナに僕から一曲プレゼントするよ。いつも誰かの為に歌ってるレイナのために、今夜だけは僕がレイナために歌うよ』
ケイゴは照れ臭そうに言った。