ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜


『ハァ、ハァ…』


ケイゴが息を切らし、病院の集中治療室の前に着くと、ユイが一人椅子に座っていた。


『ハァ、ハァ…ユイちゃん…ヒロは?』


ケイゴは心配した。


『ヒ、ヒロが…』


ユイはケイゴの顔を見るなり、今まで堪えていた涙が一気に溢れ出した。


『ユイちゃん。しっかりして…ヒロは、ヒロは大丈夫なの?』


ケイゴはユイの目を見て言った。


『…分からない。病院に運ばれてから…ずっと集中治療室の中にいて…看護士さんが行ったり来たりしてて…』


ユイは泣きながら言った。


『ケイゴ!!』


レイナも連絡を受けて、病院へと駆け付けて来た。


『ケイゴ…ヒロ君は?』


レイナは心配した。


『分からない。ヒロの奴、何で事故ってるんだよ!!』


ケイゴは壁を殴った。


『ヒロがさ、珍しく私に…いつものお礼にプレゼント持って行くから待ってて…って電話かけて来て…そしたら来る途中に事故を起こして…』


ユイは泣きじゃくっていた。


『ヒロ…ホントに何やってんだよ』


ケイゴはまた壁を殴った。


すると、治療室の中が慌ただしくなり…よりいっそう雨も強くなった。


ケイゴは出入りする看護士を呼び止めた。


『ヒロは…ヒロは、助かるんですか?』


ケイゴは奮え声で言った。


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