ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『今はかなり危険な状態です。すみません、失礼します』
看護士は治療室へと入って行った。
それを聞いたユイは崩れ落ち、よりいっそう泣きじゃくり…もう自分の力では立ち上がれなかった。
そんなユイをケイゴは見れなかった。
『レイナ…ユイちゃんに着いててあげて』
ケイゴはそう言って、廊下を走った。
『ケイゴ!?どこ行くの?』
レイナは走り去ってくケイゴに言ったが、ケイゴは振り向きもせず病院を出て行った。
『ヒロ…生きろよ』
ケイゴは土砂降りの雨の中をひたすら走った。
雷が鳴り響き、雨が弱まらない中、ケイゴは走り続け神社へとやって来た。
『神様…お願いです。ヒロを、ヒロを助けて下さい』
土砂降りの雨の中、ケイゴは土下座をして頼んだ。
『神様…お願いです。僕からもう大切な人を奪わないで下さい。ヒロを失いたくないんです』
ケイゴは雨混じりの涙を流した。
『ヒロ…ヒロ…ヒロぉぉぉー』
ケイゴは降りしきる大粒の雨に打たれ、大声で叫んだ。
そして、雨に打たれながらうつむいた。
『ヒロ…』
うつむき、涙を流しそう呟くケイゴの頭の上に…そっと真っ赤な傘がさされた。