ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『あなたが泣いててどうするのよ』
ケイゴはその声に反応して、後ろを見た。
すると、キサラギミサトがケイゴに赤い傘をさしていた。
『…ミサトさん』
ケイゴは呟いた。
『あなたの1番の友達なんでしょ?だったら、ヒロはきっと生きるって…そうヒロの事信じてあげなさいよ』
キサラギミサトはケイゴの涙をティッシュで拭きとった。
『…ミサトさん』
ケイゴは呟いた。
『辛い時に一緒に傍にいてあげるのが、友達でしょ?だから、さっさと病院に戻ってヒロの傍に着いててあげなさいよ。ヒロは今生死の境目で生きようと頑張ってるんだから。あなたがヒロを必要とするように、ヒロも今きっとあなたを必要としてるわ。それに、あたしにはあの調子のりで馴れ馴れしいヒロが、こんな簡単に死ぬなんて思えないわ』
キサラギミサトは、座り込むケイゴの手を引っ張り立ち上がらせた。
『…そうですよね。こんな所で泣いてる場合じゃないですよね…ありがとうございます』
ケイゴはそう言って、歩き出した。
『ケイゴ!!病院まで送ってくわ』
そう言って、キサラギミサトはケイゴを車に乗せた。
『あれ?ミサトさん、病院はあっちですけど…』
『わかってるわよ。病院行く前にケイゴ、その濡れた服着替えなさい。このままじゃあなた風邪ひくでしょ』
キサラギミサトは一旦ケイゴのマンションにより、服を着替えたケイゴを乗せ病院へと車を走らせた。