ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
そして、フレンズはリハーサルを終え19時から始まる公演まで休憩をとった。
『シュン。ちょっと良いか?』
ステージ上で水を飲んでいるシュンを、小林誠吾は呼んだ。
『何ですか?』
シュンは不思議そうに言った。
『レイナの歌を初めて聴いた時から、レイナの歌には何処か寂しさと言うか…何かスッキリしない、わだかまりみたいな物を感じるんだ』
小林誠吾は胸のうちを伝えた。
『そうですか?…まあ、レイナは幼い頃に両親亡くして…それからずっと独りぼっちだったからな』
シュンは考え込みながら言った。
『さすが同じ施設にいただけあってレイナの事よく知ってるな』
『まあな。あと、レイナの中に残るわだかまりって言ったら…高校生の事くらいかな!?』
『高校生?』
小林誠吾は不思議そうに尋ねた。
『ああ。レイナの両親の車の前に飛び出して来た高校生がいて、それでレイナの両親は事故を起こしたんだ。一時期レイナはその高校生を恨んでたみたいだけど…今はそんな事もないと思うけどな』
シュンは考えながら言った。
『…いつの話だ?』
小林誠吾は真剣な様子で尋ねた。
『えーっと、確かレイナが今21才だから…16年前の12月22日だな。ほら、レイナがよくストリートで歌ってた歩道橋の交差点だよ』