ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『何かレイナちゃんが眠ったら静かになったな』
ヒロは笑った。
『レイナはお酒飲むとはしゃぎ出すからね』
ケイゴも笑った。
『なあ、ケイゴ。前にお前がお見舞いに来てくれた時、フランスに行くか迷ってるって言ってたけど…レイナちゃんにフランス行くって事伝えたのか?』
ヒロはビールを飲みながら気にしていた事を尋ねた。
『ううん、まだ。まだ何も言ってない』
ケイゴは考え込みながら言った。
『まだって…お前まさかせっかくのチャンスなのにフランスに行かないなんて言うんじゃ…』
ヒロは心配そうに言った。
『…うん、行かないかもな』
ケイゴはあっさりと答えた。
『おいおい…行かないなんて勿体ないぞ。インテリアデザイナーになるのが今のお前の夢だろ?だったら…』
ヒロはケイゴの目を真剣に見て説得した。
『正直な気持ちは僕もフランスには行きたいよ』
『なら、絶対行くべきだよ。…もしかして、レイナちゃんの事か?』
『レイナはさ、5歳の時に両親亡くして…それからずっと独りぼっちで生きてきて…きっと寂しい思いを一杯したはずなんだ。だから、またレイナを独りぼっちにして、これ以上寂しい思いをしてもらいたくない。だから、レイナを独りぼっちにするなんて僕には出来ないんだ』
ケイゴは眠るレイナの顔を見て言った。