ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『独りにしたくないって…。じゃあ、お前の夢は?お前の夢はどうすんだよ?夢よりレイナちゃんを選ぶって事なのか?』
ヒロは心配そうに言った。
『そうなるかな…。レイナは強がったりする所あるけど、実際はすごく弱いんだよな。だから僕が傍に居てやらないとさ。それに、日本にいてもデザイナーにはなれるしさ…』
ケイゴは眠るレイナを見つめて優しく言った。
『だけど素直なお前の気持ちは、フランスに渡って勉強したいんだろ?…それでも、レイナちゃんの傍にいると?』
ヒロはケイゴの思いをひしひしと感じていた。
『…うん』
ケイゴは静かにうなづいた。
『そうか。…まあ、お前の好きなようにしろ。だけど、お前の1番の親友としては…絶対に後悔して欲しくないからな』
ヒロはきっぱりと言った。
ケイゴは静かに考え込んでいた。
『さーてと、じゃあケイゴ。俺帰るわ』
ヒロは立ち上がり玄関へと向かった。
『ヒロ、気をつけてな』
そう言ってケイゴは、ヒロを見送った。
ヒロを見送った後も、ケイゴはしばらくフランスの事を考えていた。
『フランスと日本じゃ…やっぱ遠すぎるよな、レイナ』
ケイゴはそう呟き、レイナの寝顔をじっと見つめていた。