ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『小林さん。話って何ですか?』
レイナは小林誠吾の後ろ姿を見つめて言った。
小林誠吾はしばらく黙って窓から外を見ていたが、振り返って重い口を開いた。
『レイナ…君に謝らないといけない事がある。君に打ち明けないといけない事があるんだ』
小林誠吾は重苦しい雰囲気の中言った。
『えっ!?何ですか?』
レイナは不思議そうな顔で尋ねた。
『16年前の12月22日…この日を覚えてるだろ?』
小林誠吾はレイナの目を見つめて言った。
『16年前の12月22日…忘れたくても忘れられない。…その日は私の両親が事故で…』
レイナは思い出すのも辛そうだった。
『あの時君の…レイナの両親の車の前に飛び出した高校生が…この俺なんだ。…すまない…すまないレイナ』
小林誠吾はそう言って、レイナに深々と頭を下げて謝った。
それを聞いたレイナは驚きと戸惑いを隠せなかった。
『う、うそ…そんな…。あ、あなたが…あなたがあの時の高校生…。あなたが私から幸せを奪った…』
レイナはあまりのショックに堪え切れずに涙を流した。
小林誠吾はレイナを見ることが出来ずにうつむいた。
『あの日の俺は、両親の離婚や自分の進路、見えない未来に…一人で悩んでいて…どうかしてたんだ。…今更謝った所で許されないのはわかってる…だけど、すまないレイナ』
小林誠吾はもう一度頭を下げて謝った。
レイナは崩れ落ちてより涙を流した。