ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜


崩れ落ちたレイナを見たケイゴは、自分でも気付かないうちに小林誠吾の胸倉を掴んでいて、無意識のうちに顔をぶん殴っていた。


ケイゴに殴られた小林誠吾は倒れ込んだ。


『お前がレイナから幸せを奪ったのか!!…許せない!!』


ケイゴは声をあらげて怒鳴った。


『…すまない』


小林誠吾は倒れ込みながら、一言そう言った。


ケイゴは倒れ込む小林誠吾の胸倉を両手で掴んだ。


『お前のせいで…お前のせいでレイナはな…ずっと、ずっと独りで苦しんで…寂しくて…それを今更すまないって…ふざけるな!!』


ケイゴは声をあらげて怒鳴り、もう1発小林誠吾の顔を殴った。


『すまない…』


小林誠吾は力無く言った。


『ケイゴやめて!!お願い!!』


ケイゴがもう1発小林誠吾の顔を殴ろうとした時、レイナが奮え声で精一杯叫んだ。


『レイナ…』


ケイゴは小林誠吾の胸倉を掴んでいる手をはずし、泣いているレイナの傍に歩み寄った。


『小林さん…私はあの時の高校生をずっと…ずっとずっと恨んでた。今でもその高校生があなただったなんて…信じられないし…信じたくない』


レイナはケイゴに支えられながら立ち上がり、奮える声で言った。


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