ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜


『…すまない』


小林誠吾には、ただその一言しか言えなかった。


『小林さん…私はあなたを、あの時の高校生をずっと恨んでた。だけど、きっと私の両親はそんな事を望んでいないんだって気付いた。だからいつしか、あの時の高校生を恨む事をやめました。今私の目の前に、その時の高校生が現れたからって…小林さんだったからって…私はまた恨んだりはしません。だって、あなたは事故の事を忘れずにあの日から、毎年両親の命日にはお墓にお花を供えてくれてた』


レイナは涙を拭った。


『…レイナ』


ケイゴはレイナを見て呟いた。


『私は両親を亡くしたけど…歌に…夢に出会う事が出来た。そして、ケイゴにも。あの日の事故から…あなたもきっと私以上に苦しんだんでしょ?私にはわかるよ。小林さんの書いた歌詞からその気持ちが読み取れるし…何よりもそうじゃなきゃ、あんなに人の心を掴む歌詞は絶対書けないもん』


レイナは優しく言った。


小林誠吾は倒れ込んだまま、立ち上がれなかった。


< 134 / 232 >

この作品をシェア

pagetop