ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『ちょ、ちょっとシュン助けてよ〜』
里菜はシュンの後ろに隠れた。
『里菜さん。あの怒鳴り声を聞いてから、我々は里菜さんのファンになりました』
ジュリのファンたちは、すっかり頭のハチマキを『里菜命』と書き直していた。
『おおっ、こいつら里菜のファンだってよ。良かったじゃんか』
シュンは笑って言った。
『い、いらないわそんなの』
里菜は困り気味だった。
『いーえ、我々はずっと里菜さんに着いて行きます』
ハチマキを巻いたファンたちは声を揃えて言った。
『ファンは大切にしろよ里菜』
シュンは大笑いした。
『里菜さーんこっち向いて下さーい』
ファンたちはカメラで里菜の写真を撮った。
『キャー、もう勝手に撮らないでよー』
里菜は悲鳴をあげてなげいた。
シュンは相変わらず大笑いしていた。
そんな里菜とファンの様子に呆れたキースが、突然カメラを取り上げた。
『迷惑だ。失せろ』
キースは里菜のファンたちをにらんで言った。
『は、はいっ!!』
里菜のファンたちはキースにビビって引き上げて行った。
『ありがとうキース』
里菜は疲れた様子で言った。
『面白かったなー』
シュンは笑って言った。
『シュンは笑いすぎだよ。さあ、みんな帰ろう』
レイナは笑顔で言って、メンバーは帰って行った。
紅葉色に染まった空がまるで、今のフレンズの心を表しているかのように、晴れ晴れとしていた。