ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『少しは父親の自覚があるみたいね』
ミナミは花瓶に花をさしながら言った。
『…ああ。リョータは俺の子供だからな』
シュンは眠っているリョータの顔を見て言った。
『シュン…あのねシュン…』
『何だ?どうしたんだミナミ?』
シュンはしどろもどろしているミナミに尋ねた。
『私…再婚するの』
『えっ!?そうなのか…良かったな。リョータは知ってるのか?』
シュンは複雑な心境だった。
『ええ、知ってるわ。リョータも再婚相手の人とも何度か会ってるし…リョータも再婚には賛成してくれてるわ』
『そうか…。ミナミが選んだ相手だ、きっと良い奴なんだろうな』
シュンは笑顔で言った。
『シュン…あのね、それと…』
『わかってるよ。もうリョータとは会わない。リョータにとっても再婚相手にとっても、俺がいたら迷惑だからその方が良い』
『…シュン』
ミナミは呟いた。
『ミナミ、約束してくれ。必ず…必ずミナミもリョータも幸せになるんだぞ』
シュンはニコッと笑った。
その言葉を聞いたミナミは目が潤んだ。
『ちょっと出て来るわ』
ミナミは涙を見せないように、病室を出て行った。