ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜


ミナミは病室の外で二人の会話を聞いていた。


そして病室を出て来たシュンにミナミが声をかけた。


『シュン!!』


『聞いてたのか?』


シュンはミナミに背を向けて言った。


『…うん』


ミナミは静かにうなづいた。


『ミナミ。ありがとな…独りでリョータをあんな立派に育ててくれて。ホントに…ありがとな』


シュンは振り向き笑顔で言って、ミナミの前から立ち去った。


その頃コンサート会場ではフレンズの出番が近づいていた。


『もうすぐあたしたちの出番よ。シュンの奴何してるのかしら?』


里菜はシュンが来ない事にイラだっていた。


『シュン…』


レイナはシュンを心配していた。


そしてついにフレンズの出番がやって来たが、シュンはまだ来ていなかった。


『小林さん!!シュンがまだ来てないんです』


ステージ脇でレイナが言った。


『シュンはどこに行ったんだ?』


小林誠吾は不安げに尋ねた。


『分からないわ』


里菜は困り果てた様子で言った。


『…くそ、どこに行ってるんだシュン』


小林誠吾は落ち着かない様子だった。


『大丈夫だよ。シュンは必ず戻ってくるって言ってた。だからきっと戻ってくるよ』


レイナはニコッと微笑み一人ステージへと出て行った。


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