ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜


『う…うん…』


レイナはふと起き上がり後ろを振り返った。


すると、そこにはフロントのへこんだトラックとそのトラックにひかれたケイゴが倒れていた。


ケイゴが子供とレイナを守ったのだった。


『ケ、ケイゴー!!!』


レイナはケイゴに気付き、すぐさま倒れているケイゴのもとに駆け寄った。


『ケイゴ!!どうして…どうして…』


レイナは頭から血を流すケイゴの上半身を起こした。


『ハァ…ハァ…。レ、レイナ…無事で良かった…。はい…忘れ物…』


ケイゴはレイナの無事を確認し、微笑みながらそっとレイナに握りしめていたお守りを手渡そうとした。


レイナはお守りを受け取り、その震えるケイゴの手を握りしめた。


『ケイゴ!!しっかりして…ケイゴ!!』


レイナは涙を流した。


『レイナ…ハァ、ハァ…ラ、ライブに遅れるから早く…』


ケイゴは薄れ行く意識の中そう言った。


『でもケイゴが…』


レイナは涙を流し、震え声で言った。


『レイナ、君を待ってる…メンバーがいる。君を…応援してくれてるファンが…いる。だから、君が行かなきゃ』


ケイゴは消えりいりそうな声で言った。


『分かってるけど…でもケイゴが!!』


『今…レイナがいるべき場所はここじゃない…君の居場所は…ステージの上だ。…せ、せっかく掴んだ夢なんだから…さあ、行くんだ…ハァ、ハァ』


ケイゴは苦しそうだった。


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