ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
君がくれた歌②♪
『レイナ何やってたんだ?もうライブの開始時刻ギリギリだぞ!!』
レイナが会場に着くなり小林誠吾は怒鳴った。
『レイナ、何かあったのか?』
シュンはいつもと様子が違うレイナを心配した。
『ううん、大丈夫。それより、みんな遅れてごめんなさい』
レイナはみんなに心配かけまいと、明るく振る舞いながら謝った。
そしてフレンズのライブが開演し、フレンズがステージ上に姿を現すと、観客は歓声をあげた。
レイナは満席の客席の方を見つめた。
『皆さん、今日は私たちフレンズのために…こんなにも集まってくれてありがとう。それでは早速聴いて下さい…“夢のかけら”』
レイナがそう言うと、キースの合図で曲が始まりレイナは歌い出した。
会場は盛大に盛り上がり、ライブは順調に進んで行った。
そしていよいよ最後の曲となり、レイナは会場を見回してそっと口を開いた。
『今この会場に来てくれているのかわからないけど…この最後の曲は大切なあなたのために書きました。もし…もしあなたに出会えなければ、あなたがいなければ、今の私はありません…。あなたがくれたモノは、この両手じゃ抱えきれないほど大きくて…大きくて…』
レイナは突然黙り込み、うつむきながら涙を零した。
その様子を見た観客たちは少しざわめいた。
レイナは涙を拭い顔をあげた。
『大切なあなたにこの歌を届けたい。“君がくれた歌”』
レイナがそう言いながら客席を見回すと、端っこの方にケイゴが立ってこっちを見ていた。
レイナはその姿に気付き、溢れそうな涙をこらえて歌い出した。