ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
レイナは携帯電話をポケットにしまい、雲一つない青空を見上げた。
そしてしばらく考え込んでから詞を書き始めた。
その頃、8階の練習スタジオでは3人が必死に練習していた。
3人は1時間近く練習すると、軽く休憩をとった。
『ふぅー…。そう言えば、里菜は今日まで何していたんだ?』
シュンは水を飲みながら尋ねた。
『私はイギリスに留学してたの。その時にキースと知り合ったのよね』
そう言って里菜はキースにウインクをした。
『へぇー、じゃあ二人は早い時期から出会っていたんだな。キースはイギリスで何やっていたんだ?』
シュンはキースの方を見た。
キースはしばらく黙り込んでいたが、里菜の目を見てうなづき、里菜が代わりに話した。
『えっと…キースはね、イギリスではバックバンドのドラマーとして活躍してたの。そして、若きプロデューサーとしても有名だったのよ』
里菜は自慢げに話した。
『スゲーなキース』
シュンは感心した。
『でもね、ある日キースの書いた曲に盗作疑惑が浮上して…そのせいでキースはイギリスで音楽を続けられなくなったの。もちろん、キースは盗作なんてしていないわ。キースの才能を妬んだ同業者がハメたのよ。ねっ!!』
里菜はそう言ってキースを見た。
『それは酷いな…』
シュンもキースの方をチラっと見た。
『それを知ったあたしがさ、キースをこのバンドに誘ったのよ』
『もう一度音楽やれるチャンスをくれた小林さんに、俺は凄く感謝している』
キースは真剣な表情で言った。