ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『ミサトさんのそのネックレス可愛いですね。ミサトさんがデザインしたんですか?』
ユイはキサラギミサトの着けているネックレスを見て言った。
『ええ、そうよ』
キサラギミサトはそう言うなり席を立ち、ユイの背後に周って、自分の着けているネックレスをユイの首に着けた。
『これ、ユイちゃんにあげるわ。大事にしてね』
キサラギミサトは席に戻った。
『えっ!?これ高いんですよね?…貰えませんよ』
ユイはネックレスを外そうとした。
『良いのよ。そのネックレスはユイちゃんに凄く似合ってるわ』
『で、でも…やっぱ貰えませんよ』
『良いんだって。それに…そのくらいのネックレス着けておかなきゃ、そこで寝てる世話が焼ける男は、なかなか振り向いてなんてくれないわよ』
『えっ!?』
ユイはドキッとした。
『うふふ、図星みたいね。こんなに世話を焼いてずっと思っててくれてる子が近くにいるのに、この男は気付かないなんてね』
キサラギミサトは呆れた様子でヒロを見た。
二人が話していると、ケイゴが戻ってきた。
『タクシー捕まえたよ』
『じゃあ、帰ろうか。ここは私が払うわ』
キサラギミサトはカードで支払いを済ませ、ケイゴはヒロを背負って、全員店を出た。
『ケイゴ。家まで送ろうか?』
キサラギミサトはケイゴに尋ねた。
『あー良いです。近いんで、歩いて帰ります。ありがとうございました』
『そう。じゃあね』
キサラギミサトは車に乗り込み、車をかっ飛ばして帰って行った。