ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
ケイゴが自分の部屋の鍵を開けようとしていたら、隣の部屋に住むお爺さんが出て来た。
『あれれ、ケイゴ君。今帰りかい?さっきまで女の子が待っておったぞ。この寒い中3時間近くも…』
お爺さんは眠たそうに言った。
『3時間も!?レイナ…、僕に気を使わせまいと今来たなんて嘘ついたのか…』
ケイゴは急に胸が苦しくなった。
『ケイゴ君、どうしたんじゃ?』
お爺さんは心配した。
『お爺さん、ありがとう』
ケイゴは全速力でレイナを追いかけた。
『今夜は星が凄く綺麗だなぁ』
レイナは星空を見ながら歩いていた。
レイナが歩道橋を歩いていると、背後から声がして振り返った。
『レイナー!!』
ケイゴが走ってやって来た。
『ハァ、ハァ、良かった…やっと追い付いた』
ケイゴは息を切らした。
『ケイゴどうしたの?』
『ふーっ。レイナ!!レイナの、フレンズのデビュー曲を聴かせてよ』
『もしかして、それだけのために追いかけて来たの?』
『…急にレイナの歌が聴きたくなったんだ』
ケイゴはしんどそうだった。
『ケイゴ…。良いよ、じゃあ聴いて』
レイナはギターケースからギターを出し、その場に座ってチューニングをし始めた。
ケイゴも座り、歩道橋の手すりの柵にもたれた。
『この前のライブも緊張したけど、でもケイゴに聴いてもらうのが1番緊張するかも』
レイナはそう言って笑った。