ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
キースは黙り込んでいたが、重い口を開き話し出した。
『疑惑なんかじゃないんだ…。あれは事実なんだ。俺は盗作した…』
それを聞いたメンバーは、ただ驚くしかなかった。
『こんな俺にフレンズの曲を作る資格なんてないし、みんなが大切にしてるフレンズにいる資格もない…。俺はバンドを抜ける…』
キースは独りスタジオを出て行った。
キースが出て行ったスタジオ内には、ただ沈黙だけが残った。
『疑惑じゃなかったのかよ…訳がわからねぇよ!!』
シュンは壁を叩いた。
『キースさん…』
レイナは心配そうに呟いた。
里菜はしばらく考え込んでいたが、急にスタジオを飛び出した。
里菜が屋上へ行くと、キースが独りで空を見上げていた。
『キース!!』
里菜は名前を呼んだが、キースはちらっと里菜の方を振り向いただけで、また黙って空を見上げた。
里菜はそんなキースの隣に歩み寄った。
『キース…。あなたが何の理由もなしに、盗作なんてする訳がないわ』
里菜の言葉に、キースはうつむいた。
『だってあなたはずっとイギリスで、施設の子供たちや恵まれない子供たちに援助をしてた。そんな優しいキースが、簡単に盗作なんて出来ると私には思えないわ』
里菜がそう言うと、キースは顔を上げ話始めた。