ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『ケイゴ。今何考えてた?』
レイナは真剣な表情で尋ねた。
『え!?…別に、何も…』
ケイゴはごまかした。
『嘘だ。ケイゴが今何考えてたか当ててあげよっか?』
『レイナ!?急にどうしたの?』
『ケイゴ…すっごい寂しそうな顔してた。私の勝手な直感だけど、前の彼女の事思い出してたんでしょ?』
ケイゴはレイナに心の中を見透かされていて驚いた。
『ケイゴ。ヒロ君から前の彼女の事聞いたよ』
レイナはそう言って砂浜に腰を下ろした。
『いつ聞いたの?』
ケイゴも腰を下ろした。
『名古屋で聞いたの』
『そっか…聞いたんだ。…なあ、レイナ。大切な人を失うのって…何よりも辛いよね。昨日までそこにいたのに、急にいなくなって…永遠に触れることも出来ない。声が枯れるまで名前を呼んでも…どこにもいなくて…急に自分の居場所がなくなったみたいで…どこへ行っても寂しくて…』
ケイゴは元気なく寂しそうにうつむき、声は震えていた。
『ケイゴ!!私は…レイナはどこにも行かないよ。ケイゴの前から絶対いなくなったりしないから…』
レイナはうつむくケイゴの背中をポン×②と軽く叩いた。
『…ありがとう、レイナ』
ケイゴは顔を上げ、ニコッと笑った。
『私も両親失くして…ずっと独りぼっちだったから、ケイゴの気持ちが痛い程わかる。私、独りぼっちが凄く嫌だったな』
『レイナ…』
ケイゴは呟いた。