ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『ねぇ、ケイゴ。月ってさ…何か私みたいじゃない!?』
レイナは月をじーっと見つめた。
『え!?』
ケイゴはレイナの方を見た。
『無数にある星たちと違って、月はいつも夜空に独りぼっちで孤独でさ…“私はここにいるよ”って、みんなに気付いて貰いたいからあんなに輝いてて…。何だかみんなに歌を聴いて貰いたくて、ストリートやってる時の私みたい』
レイナは少し淋しげな顔をした。
『レイナ…それは違うよ。月があんなに輝やいてるのは、いつも太陽が月の傍にいて照らしてるからだよ。…だから月は独りぼっちなんかじゃない』
ケイゴは強く言った。
『レイナが月なら…僕はレイナの太陽になりたい。いや、僕が太陽になるよ』
そしてケイゴは立ち上がり…2、3歩前へ歩き、海の果てを見つめた。
『レイナぁー、僕は…ケイゴは君が好きだぁー!!』
ケイゴは大声で叫んだ。
それを聞いたレイナは驚いた。
そしてケイゴは振り向き、レイナの目を見つめた。
『頼りないこんな僕だけど、君の涙くらい止められるから…。ずっとレイナの傍にいたい』
ケイゴは笑顔で言った。
それを聞いたレイナも立ち上がり、ケイゴの隣に並びレイナも海の果てを見つめた。
『私も…レイナもケイゴが好きー!!』
レイナも大声で叫んだ。
そしてケイゴの方を向き、ケイゴの手を握った。
『この手、絶対離さないでね』
レイナは照れ臭そうに言った。
『レ、レイナ!!』
ケイゴはたまらずレイナをぎゅっと抱きしめた。
『ケ、ケイゴ痛いよ〜』
レイナは嬉しそうに言った。
二人の事を見守るかのように、この時だけは冷たい冬の海風も静まっていた。
二人の幸せを願うかのように、月はいつも以上に輝き二人を照らし続けた。