ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『リカ!!あなた一体何してんのよ!!』
廃ビルの屋上にやって来た里菜は、リカに怒鳴った。
『里菜…来てくれたんだ。ありがとう』
リカはニコッと微笑んだ。
『リカ…どうして政治家の家に乗り込んだの?』
里菜はリカを問い詰めた。
リカは屋上の古びた柵に寄りかかって下を見つめ、静かに話し出した。
『…あたしのパパはあの政治家の秘書をしていたの。いつも二人はお互い励ましあい二人三脚で頑張ってたわ。…だけど、あの政治家はいつしか自分の出世しか見なくなって、裏では汚い事ばかりやってたわ』
『あの好感度の高い政治家が?』
里菜は驚いた。
『ええ。それが周囲にバレ始めたからって、それを全て秘書の…パパのせいにして…。パパは信頼していたアイツに裏切られたショックと、世間の冷たい批判で精神的に追い詰められ…飛び降り自殺をして…』
リカは涙をこらえて言った。
『そ、そんなことが…』
里菜は驚いた。
リカは自分の両手のこぶしをぎゅっと握りしめた。