ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『うっ…』
古びた柵を掴んでいる里菜の手は血だらけになっていた。
『里菜!!里菜の左手…血だらけじゃない!!』
リカは里菜のケガに気付いた。
『だ、大丈夫…』
里菜は歯を食いしばり、凄く痛そうだった。
『里菜…私の手を放して!!このままじゃ里菜、ベース弾けなくなっちゃうよ』
リカは叫んだ。
『ヤダ!!絶対放さない。左手が使いものにならなくなって、ベースが弾けなくなっても良い!!私にとってリカのが大切だもん!!』
里菜は痛みをこらえ、大声で叫んだ。
それを聞いたリカの目からは涙が一気に溢れ出した。
『…ゴメンね、里菜。こんなどうしようもない私のために。ありがとう…。里菜…私、私やっぱりまだ死にたくない…死にたくないよー』
リカは泣き叫んだ。
『リカ…。うん…生きよう。生きて一緒にもっともっと笑おうよ』
里菜も涙を零した。
柵を握る里菜の血だらけの手は、もう既に限界を超えマヒしていた。
『うっ、手、手が…もう…ダメ…』
里菜の血だらけの手が古びた柵から外れた。