ミュージック・ラブ〜君がくれた歌〜
『なあ、リョータ。お前の夢って何だ?』
シュンは去って行くリョータに尋ねた。
『正義のヒーロー!!正義のヒーローになって、ママを悪い奴らから守るんだ』
リョータは誇らしげに言って、母親の所へと走って行った。
『良い夢だなリョータ。…さてと、そろそろ帰って曲作りでもするかな』
シュンはその場を立ち去った。
『ママー!!』
リョータは母親を見つけた。
『もう、リョータ。あなたどこにいたのよー?ホントに捜したんだから』
母親は一安心した。
『あそこのベンチで…あれ!?いないや』
リョータはベンチを指差して見た。
『どうしたのリョータ?』
『さっきまであそこでね、おじちゃんとお話してたんだ。それでコレ貰ったの』
リョータは母親に、シュンから貰ったピックを見せた。
『…シュン!!』
母親はピックに書いてあるサインを見て驚いた。
『ママどうしたの?』
『ううん、何でもないの。コレ大切にしなさいね』
母親はリョータにピックを返した。
『うん』
リョータはピックを大事そうにポケットにしまい、歩き出した。
母親はベンチの方をじーっと見つめた。
『シュン…あなたまだ音楽続けてるんだね』
母親はそう呟いて、リョータの後を追うように去って行った。