狂愛~狂うほどに君を~



ゆずは自分の腕の中で眠るメガネザルの姿をしたイアンを見つめていた。


可愛くて、懐かしい。


リアムのときにも感じた懐かしさ。


ああ、この子のことも私はきっと知っている。


思い出すことは出来ないけれど。


またもどかしい気持ちがゆずの胸の内を支配する。


自分が自分でないような気がしてたまらないのだ。


イアンを撫でながら昏い思考に流されてしまうゆず。



『おはよう』



大きくてくりくりな目が開き、ゆずを見つめた。


イアンが起きたのだ。


わけが分からないというふうに目をぱちくりさせるイアン。



『ふふ、かわいいね?』



あまりにも愛らしいその姿にゆずはちゅっとイアンにキスを落とした。


ポォォッ


イアンの体が突如光を放ち、少年の姿へと変わった。



『リリィ・・様』



少年が口にした言葉は天界にいたころのゆずの名だ。







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