狂愛~狂うほどに君を~
千はゆずと共にリアムのいる寝室へと姿を消した。
それにしても、だ。
千と泉の推測ではリアムとイアンがゆずの記憶の欠片を持っているはずなのだ。
記憶の欠片を引き出すためのきっかけは一体なんなのか。
ゆずの天界での生活を知らない千と泉には分からない。
『リリィ様の記憶・・・やっぱり、奪われてたんだ・・。オレっち!オレっち!助けられなかった・・』
イアンはその場に泣き崩れた。
『君のせいではありませんよ。泣かないでください?ゆずちゃんといい、君といい泣き虫さんですね』
泉がイアンを抱き上げて頭を撫でてやる。
『オレっちは!助けたかったのに・・リリィ様のことを傷つけようとした!オレッちはリリィ様のことを守らなきゃいけなかったんだ・・!』
このまだ幼いこの子が、何を抱えてきたのか。
グレイスの記憶を覗いた泉にはなんとなく予想が出来てしまうだけに同情してしまう。
『オレっちに触るな!!お前は悪魔なんだろ?!なんでオレっちに優しくしようとするんだ!』
イアンは泉の胸を強く押しのけた。
さっきまで闘っていた相手に急に懐けという方が無理な話だ。
『・・・でも、リリィ様はお前を信頼してる・・・・。さっきの魔力の強い男のことが好きなんだって、伝わってきた・・・。だからオレっちも、お前らをとりあえず信じるよ・・・』