狂愛~狂うほどに君を~

旅の始まり、現る敵




泉の創りだす空間の中、身を寄せ合う千とゆず。


ついに始まった。


ゆずの記憶の欠片を集めるための旅。



『あの、千さん・・。どこに向かっているのですか?』

『森だ』

『・・・森?』



さっきまでいたはずの湖も深い森の中だったのに、なぜわざわざ森に向かうんだろう・・・。


不思議に思い頭を傾げるゆず。



『ボクとゆずが出会った場所に向かってるんだよ!もしかしたら、何か思い出せるかもしれないから』



リアムがゆずの横へと寄ってきて、ニコニコと話し出す。


ゆずの奪われてしまった記憶を取り戻すための記憶の欠片。


その記憶の欠片はゆずが心から愛していた人たちがもっている。


しかし、それがどのような形をしていて、どのように手に入れることが出来るのかは定かではない。


けれど、天界にいたころのゆずがリアムとイアンを心から愛していたことはリアムとイアンの話からすでに分かっている。


それに加えてグレイスの記憶を覗いた泉もその点については間違いないと踏んでいる。


そして何かきっかけが必要なのではないかと考え、まずはリアムとイアンのゆずとの思い出の地を巡ることになったのだ。


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