狂愛~狂うほどに君を~
『友達・・か。』
支払いを終えた千は店内にいるゆずと泉の様子を見守る。
そして二人の会話を特別な能力で聞いていた。
それから・・心の中が少しざわめいたことにイライラしている。
何故ならその感情がなんなのか気づき始めていたから。
出逢ってから数日たったわけでもない。
なのに千はゆずに対して特別な感情を持っていた。
絶対ありえないことだと理論的には思っているのに。
ゆずに対しての気持ちは自分的理論とは真反対の方向へ進んでいく。
何度も女と関係を持ってきた。
何度も荒々しく抱いてきた。
それは本能的に。
けれど一度も抱いたことのない感情。
それをゆずに感じている。
抱いたことも
唇に触れたことも
愛の言葉をかわしたこともない
ゆずに。