狂愛~狂うほどに君を~

『へっ!?』


思わずゆずの口からは驚きの声がもれる。

そんなことにもかまわず千の指先はゆずの唇をなぞる。


『…。』


ゆずの唇が震えた。

その瞬間、千は手をひいた。


『悪い、怖がらせたな。』


そう謝る千をみたゆずは思った。

もしかして…傷つけてしまったのかな。

どうしよう。

すごく切ない表情してた。

私、怖かったわけじゃない。

少しびっくりしただけ…。

怖くなんかないよ。

怖いわけない…。

あんなに優しく微笑む人なんだもん。
< 34 / 181 >

この作品をシェア

pagetop