狂愛~狂うほどに君を~
そんな二人を遠目から見つめる影。
ゆずと泉の乗っている車の前方約30メートル。
『良かった・・。』
優しい声だった。
泉よりも数倍。
包み込むような声だった。
愛しいと思ってしまったのは間違いではなかった。
そう気づいた時、ゆずはもう泉のものになっていて。
良かったと口走ったのは
そう思わないとやっていられないからではなくて・・。
その方がゆずは幸せになれると思ったから。
けれど・・出来ることならば
自分が幸せにしたかった。
自分が幸せを与えたかった。
もう一度・・・抱きしめたい。
千の胸はしめつけられるばかりだ。