狂愛~狂うほどに君を~
第3章
哀と愛
『ん・・。千さん・・?』
ゆずが目覚めると隣に千はいなかった。
『痛ッ。』
下腹部に感じる鈍い痛み。
それがさっきまでのことが現実だったと告げる。
『まだ・・何も伝えてないのにッヒック・・うぅー・・。』
ゆずはこらえていた涙を流す。
もし、もう一度会えたなら
伝えようと決めたことがあった。
けれど、それは叶えられなかったのだ。
心の繋がりを何より大切にしたかったゆず。
それとは正反対のことが起こってしまった。
無理矢理繋がってしまった体。
何も伝えないまま。
ゆずは泣き疲れてまた眠りの世界へと落ちた。