狂愛~狂うほどに君を~



『なんで・・未だに落ち着かないのでしょうかね・・。』





泉は一人でずっとそわそわしていた。


千とゆずの抱擁を目の当たりにして


踵を返したのは自分だった。


ゆずがどれだけ千に会いたいかは分かっているつもりだったから。


やっと、願いが叶ったんだと一瞬安堵してしまった。


千とゆずのお互いを想う気持ちがあの抱擁のまんまだと思ったから。


けれど、何故か未だに気にかかる千のこと。





『千・・。』




いてもたってもいられなくなってしまった泉は二人の元へと足を進めた。


あと少しで辿りつくところで千と出くわした。





『・・・・・。』




千は泉を無言で見つめた。




『覚悟が決まったのですか?』




泉は千の視線を受け口を動かす。


ききたかったことは、


ゆずを一生愛していけるのかどうか。


これからやってくるであろう耐えがたい苦しみも痛みも


一緒に背負っていけるのかどうか。





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