パズル・ゲーム



「ところで雪瑠さん、紅茶を頂けますか?」



「はーい」



恭弥さんは確かにいつもぶっきらぼうだったりするからちょっと頭にくる時もある。


でも本当に頭がいいのは確かで、数々の事件を解決する謎の探偵。


だから私は悔しいけど、恭弥さんを尊敬している。



「今日は何にしようかな…」



食器棚の前で少し悩むのはいつもの事で。


恭弥さんは類を見ない紅茶好きで、大量の紅茶の茶葉の入った缶を持っているからだ。



「キャラメルコーヒー、かな」



缶のラベルを念入りに確認する。


その他にもスパイスやら、ファンタジーやら、紅茶とは思えないような香りの名前が書かれた缶がたくさん置かれていた。



「スパイスって…これどんな匂いなんだろ?」



珍しい物を見るような目でジロジロラベルを眺めて缶を開けて匂いを嗅いでみる。



「雪瑠さん、まだですか」


デスクから恭弥さんの少しイライラしたような声が飛んで来る。



「カフェイン中毒め」



私はそっと毒づいた。
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