パズル・ゲーム
「誰が、カフェイン中毒ですか」
紅茶のポットとお洒落なカップを恭弥さんの所へ持っていくと不満そうな顔の恭弥さんが言った。
「聞こえてたんだ…」
いつも人の話も適当にしか聞いてないくせに、こういう時は地獄耳なのだ。
面白くない気持ちで踵を返して、ソファーに体を埋めた。
「ありがとうございます、雪瑠さん」
少し遅れて恭弥さんの声が聞えて、私は驚いて恭弥さんを見ると、いたずらっぽい笑みを浮かべていた。
少し長めのくせのある黒髪に、知的な切れ長の目、すっと通った鼻筋、白い肌。
そして薄い唇が今は妖艶に弧を描いている。
そう、本当に悔しいほどに綺麗なのだ、恭弥さんは。
「タチが悪い…」
私は少し赤くなった頬を隠そうと顔を背けた。
「なんだ、つまらないですねえ」
恭弥さんは紅茶を飲みながらまたパチン、パチン、とパズルのピースをはめはじめた。