愛しのご主人様
「知らない…よ?」
なんてびくびく言うあたし。
すると、衣美ちゃんは会場に木霊するような大声で…、
「信じられな〜いっ!!!」
と、叫んだ。
いきなり叫ばれたのであたしの目はキョトン。
周りが驚いてざわつく中、
衣美ちゃんはゴホンと咳払いした。
「雪乃!あのねえ!」
「な、なんでしょう…?」
「いくら好きになった男以外興味を示さないにしても程がある!
陽岡先輩知らない人なんて学校に居ないわよ!?」
「なっなんで?」
「何でじゃな───いっ!
この顔写真見りゃわかるでしょ!」
そう言って衣美ちゃんは、あたしの目の前にチラシを突き出した。