愛しのご主人様
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「──…ふぅ…。
まだまだあるなあ、チラシ…」
チラシ配りを開始して約30分。
結構配ったと思ったけど、
手にはまだ沢山のチラシ。
「衣美ちゃん終わったかなあ…」
ふう…とため息混じりに呟いた。
ピルルルル…
ピルルルル…
「わっ!電話、電話…」
ポケットに入ってたケータイを取りだし受話器に耳を当てた。
「もしもし、雪乃です」
『あ、雪乃ちゃん!
原田だけど、天気悪くなってきたしちょっと早いけど戻ってきていいよ!』
あ、ほんとだ…。
さっきまでの青空がグレーの雲に覆われている。
「わかりました!」
『衣美ちゃんはもう戻ってきたからね』
原田さんはそう言うと、電話を切った。
──…ポツッ
わ、もう降ってきた!
急がなきゃ〜っ!