愛しのご主人様
「な、何でしょう…?」
恐る恐る振り向くと…──、
見覚えある顔…。
「…陽岡桐弥…」
ポツリと名前を呟くあたしを見て、
陽岡桐弥はあたしと同じ位置に目が来るように、しゃがみこんだ。
「…俺のこと知ってんの?」
う。
その上目遣い、反則です…。
「おい、聞いてんのか猫耳?」
「ねっ猫耳!?」
「だって猫耳つけてんじゃん」
いや、そうなんですけど。
「てか、膝。
どうしたの?」
陽岡さんはあたしの膝を指差した。
「えっと…さっき転んじゃって…」