愛しのご主人様
「痛そー…立てるか?」
陽岡桐弥は、あたしの腕を掴んで立ち上がらせた。
「いっ…」
た――――い!!
「…歩けるか…?」
うぅ…。
痛すぎて無理です……。
なんてことも言えずに「だっ大丈夫です」なんて笑って見せた。
「…嘘」
「へ……?」
「つけないタイプだろ?」
陽岡さんはニコリと笑うと、ヒョイッとあたしをお姫様抱っこした。
「あっあの!?」
いきなりのお姫様抱っこにたじたじなあたし。
そんなあたしを知らんぷりし、
「お、さすが猫だな。
持ち運びやすい軽さ♪」
…なんて言って陽岡さんは運び続ける。