愛しのご主人様
いいのかなあ…。
陽岡さん、腕疲れないかな…。
ていうか!
何で、こんなことに―――!?
あ、いやあたしが転んだからなんだけど…。
「どこまで運べばいい?」
「あ、あそこのスタッフルーム…なんですけど…。
すいません…なんか」
「なんかほっとけなかったし。
それに俺出場者だしそこに行く用事あるから」
陽岡さんはそう言うと、ニコッと微笑んだ。
陽岡桐弥という人間は、性格まで完璧なのか…。
なんだかすごい。
「――…雪乃!?」
スタッフルームの前で衣美ちゃんがあたしの名前を呼んだ。