愛しのご主人様
「友達、心配してんね?猫ちゃん」
陽岡さんは、ケラケラと笑った。
「ねっ猫じゃないです!」
「いいじゃん、猫。
可愛いじゃん?」
『可愛い』…。
って、あたしじゃなくて猫が、だよね!
「なんつーか…」
陽岡さんがポツリと呟いたので反射的に「はい?」なんて言ってしまった。
「お前、ほしいかも」
―――…え?
「雪乃!!」
「あっ衣美ちゃん…」
気づけば衣美ちゃんがあたしの隣で息を切らして立っていた。
「友達来たし、もう大丈夫だよな?」
「あっはい」
「じゃ、俺行くな」
そう言い残し、陽岡さんはポンとあたしの頭を叩き去って行った。