愛しのご主人様




「ほんとに…自由券、これに使っちゃっていいんですか?
今なら訂正ききますよ?」


司会者が陽岡さんの顔を覗き込む。


「俺が欲しかったもの、
手に入りましたから」

陽岡さんはにっこり微笑むと、あたしを猫のように抱きかかえた。


「ひっ陽岡さっ…」

バタバタと動くあたしに陽岡さんは、あたしを抱く腕に力を入れる。


「動くなよ。落ちるぞ猫ちゃん」


なんて悪戯に笑った。


うっ。

そういう顔もまた……。


「じゃ、俺ら帰ります」


そう言って陽岡さんは、ステージから飛び降りる。


「きゃああああっ」


そんな行為にあたしは超ビビリ。


「これぐらいで叫ぶなって…」


陽岡さんは、ストンと綺麗に着地するとあたしを肩で担ぎ、会場から走り去った。


って……えええええ!?


あたしはどうなっちゃうの!?


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