愛しのご主人様
「あ……」
なんとなく手を握れずにいた。
ペットって何すればいいの!?
この人に何をすればいいの…?
そんな疑問で頭がいっぱいで、
手を差し出すのを恐れた。
不安そうな顔が表に出ていたのか、
陽岡さんはあたしの頭に手を置き笑ってくれた。
「お前は俺のそばにいればいいんだよ。
たったそれだけの話!」
「そばにいる…?」
それだけでいいの…?
「な?簡単だろ」
そしてもう一度陽岡さんは手を差し出した。
「…簡単、ですね」
そう言ってあたしは手を握った。