愛しのご主人様
ふと時計に目をやると、今日はまだ朝ごはんを食べる余裕がありそうだ。
階段を勢いよくくだり、リビングに顔を出す。
「おはよ、雪乃」
キッチンから顔を出したのは、お母さんじゃなくて秋奈お姉ちゃん。
高校3年生、兄弟唯一の期待の星。
まあ春樹もそうなんだけど。
「秋奈ちゃん、お父さんとお母さんは?」
いつもテーブルで新聞を読んでるお父さんと、
キッチンで朝ごはんを作ってるお母さんがいない。
「今日は2人も仕事早いからって、もう出てっちゃったよ」
秋奈ちゃんは、テーブルに座るあたしの目の前に目玉焼きを置いた。
「雪乃、春樹と夏芽兄は?」
秋奈ちゃんの問に目玉焼きをかじりながら「春樹が起こしにいった」と答えた。