愛しのご主人様
「どちらさ…ま」
怒りマックスで玄関のドアを開けると…
「おはよ、雪乃」
って笑う見覚えのある顔。
「ってひひひひ陽岡さっ」
「お前まだパジャマかよ…」
な、何故陽岡さんが家に――!?
「雪乃~?誰~?」
なんて夏兄の声がリビングから聞こえる。
「ちょっ外で待っててください!」
「あ?ちょ、おい」
力づくて陽岡さんを外へ押し出し、猛スピードで準備開始。
「なんで陽岡さんいるの!?」
なんて独り言を言いながら、髪を整え、鞄に教科書やらケータイを放り込んだ。
「あ、雪乃!お弁当!!」
玄関でローファーを慌てて履くあたしに、秋奈ちゃんはお弁当を片手に駆け寄る。
「あ、ありがとー秋奈ちゃん」
「ほんと、あんた忘れやすいんだから…」