愛しのご主人様



「今日お弁当忘れちゃって。
購買のパンだけだったんです…」


ダメ元で瞳うるうる攻撃で攻めてみる。


「男は女の涙に弱いの」

衣美ちゃんがいつか言ってたっけ。


「…なんだよ、その目」


陽岡先輩は、眉間に皺を寄せギロッとあたしをにらんだ。


「なんか…ください(泣)」


「家行ったらな」


「…ま、待てません!!
空腹を通り越して気持ち悪いんです!」


必死に訴えるあたしを横目で流し、陽岡先輩は真っ直ぐ指を指した。



「家、目の前だから」


へっ。


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